ビジネス(経営・組織・会計)の本


ITコンサルタントの本と、ビジネスの本を分けるのは難しいのですが、ITにどれだけ関係しているかで区別してみました。
こちらは比較的一般的なビジネス書の紹介です。





いままで著者の本を読んできた人にとっては繰り返しの部分も多いと思いますが、日本の未来という切り口でいろいろな示唆を与えてくれる本です。
特に印象深かった部分を抜粋すると、単身者がマジョリティになってきておりそのための商品やサービスが売れてくる時代になっている、自分好みの傾向が強まっておりブランド物が売りにくくなっている、安易な値下げは経営者の怠慢、デジタル時代は模倣困難性が減少し経験曲線も効かなくなる、などです。また、中国やインドネシアはすでに市場になってきている、ルーマニアやウクライナにもチャンスがある、など例示によって海外との関わり方を示してくれています。
今の若い人たちにこそ、このような本を読んで、英語、IT、財務の基礎力を身につけ、次世代の日本を良い国にしていって欲しいものです。




なかなかすばらしい本でした。 利益=(顧客単価−原価−顧客獲得コスト)×顧客数。
使いやすい式で、顧客獲得コストをおもてに引っ張り出してきたのがとても好きです。
本の中にかかれている施策はビジネスの状況によってあうあわないがあると思いますが、必ず何らかのヒントが隠されていると思います。
こういう本を読むと、世の中に魔法のような新知識などほとんどなくて、「既存の知識をいかに実践に結びつけられるように再構成するか」というところが結構勝負だったりするんだと思いました。もちろん最後は徹底的な実践が必要ですけどね。
ちなみに顧客獲得コストの非常に効果が高い方法は、マスコミに取り上げてもらうことだと思っています。
テレビや新聞、雑誌の影響は、いまでもまだまだ絶大です。




マネジメントのやり方にひとつの考え方の幹を与えてくれる考え方だと思います。
非常にシンプルなのですが、その分使いやすく、個人差などはあると思いますが、効果も期待できるのではないでしょうか?
組織論ではなく人間の行動と心理に焦点を当てているので、日々のマネジメント行動に役立つところがまた良いです。
もちろん日常生活や子育てなどにも応用できると思います。


クリス・アンダーソン
日本放送出版協会(2009-11-21)



はやった本ですね。真新しいことを言っているわけではなく、ビジネスの世界で昔からあった「無料」の使い方をわかりやすく整理し、デジタル社会においてはそれがますます有効な手段になること、無料をうまく使わざるを得なくなることを説いてくれています。体系立てるということはとても重要なことで、歴史的に有意義な本だと思います。
実例もたくさん挙げてくれているのがとても役に立ちます。 ビジネスモデルとしては、ぜひ発想のなかに取り入れたいですね。
本にものっていますが、YouTubeなどが、顧客を集めることには大成功したが収益モデルが確立できていないところを指摘しているのは、無料を使うことの難しさも同時に表しています。


エリヤフ・ゴールドラット
ダイヤモンド社(2009-11-13)



小売業の店舗在庫にまつわる話。SCMの基本的なことを楽しい物語で解説してくれます。
配送頻度向上と在庫のセンター化が理論的に目指す方向であると。
簡単ですが、非常にわかりやすくかかれているのは、理論が洗練されている証拠だとおもいます。
やはり何度も基礎に立ち返って、改善を続けることが重要だと思います。


白川 克 関 尚弘
日本経済新聞出版社(2009-08-20)



人事のBPRとそれに伴うシステム再構築というプロジェクトを、良いところだけでなく不安や焦燥などが書き込まれていて、とても引き込まれる物語です。
コンサルタントはタイムキーパーであり、プロジェクト管理のアドバイザーであり、何よりファシリテーションの技術を提供するという役割でしたが、肝心の新業務像を描くところをクライアントが主導権をしっかりと握って進めているところが、このプロジェクトの成功の鍵であったと思います。
サブタイトルにあるように、クライアントとコンサルタントの良い関係の一例として参考になります。


三浦 展
ベストセラーズ(2009-07-09)



「シンプル族」という言葉で、これからの購買層の中心となる団塊ジュニア世代の傾向を明らかにしようとした本です。
その傾向として、派手なものは好まない、余計なものを買わない、個性を大事にする、といったことがあげられています。
たしかにそのように一言で表してみると、全体の傾向がよく見えてくると思いました。
細かい考察は、?というものも多いのですが、そのような点は読み飛ばしてもよいかと思います。


ジョン・P・コッター ホルガー・ラスゲバー
ダイヤモンド社(2007-10-27)



リーダーシップ論の権威、ジョン・P・コッターの、物語で読みやすくした組織改革論。とても読みやすいですが、その含蓄はとても深く、まさに改革のエッセンスを凝縮したような内容です。
知人に勧められて購入しました。読んでよかったです。感動しました。 結局、ビジネスを形成しているもっとも大きな要素は人で、人がどう動くかによって大半が決まってしまう。その流れをどのように作っていくべきか、という議論のような気がしました。
機会があるごとに、何度も読み直して、自分にあてはめて考えたい本です。
ただ、入門編なので、エッセンスを深掘りした考察は他のコッターの書籍をあたる必要があるでしょう。




いまの時代に必要なモチベーションとは何なのか?ということに理論と具体的施策で答えてくれている本です。
施策については、単純に実行するだけではやはり効果がでそうになく、その根本の思想をきちんと組織に根付かせないといけないと感じました。
しかし、社員のモチベーションの高い会社は強く、何より働いている人たち自身が幸せです。
そんな会社を作り上げるヒントがたくさん詰まっている本だと思いました。
会社全体ではなく、私自身としてはチームマネジメントをするときに利用させてもらおうと思っています。


柳井 正
新潮社(2006-03)



一般的な経営理論ではなく、柳井さんの思いの込められた本で非常に参考になりました。

まず大前提として、会社とは本来、つねに実体がなく、非常に流動的で、永続しない可能性の強いものと言い切っているところがすごいと思います。

広告宣伝に関しても、 「伝える」のではなく「伝わる」広告宣伝であり、言いたいことを伝えるのではなく、読み手に敬意を表することを重視したり、広告は実質が伴っていないと、広告そのものが無駄になる。という当たり前のことですが、マーケティングの限界を経験としてきちんと表現してくれています。

「唯一絶対の評価者は、市場と顧客」というのも、私の好きな言葉です。




ビジネスの至る所で言われている”見える化”ですが、そもそも見える化とは何か?どうすれば見える化が成功に結びつくのかについて、解説してくれている本です。 各社の事例も豊富に記載されていて、リファレンスとしても使えます。
業種、業界、業務をしぼった形で、見える化の詳細を紹介しているわけではないので、より実践的な内容が必要な人には、それらに特化した書籍を当たる必要があるでしょう。


坂本 光司
あさ出版(2008-03-21)



極端なマネー主義に偏っている現代に疑問を感じている人に最適です。
存在意義を明確にもった会社をいくつも紹介しています。「感動を与える経営とはこういうことだ」「仕事を楽しむとはこういうことだ」という事例がとても詳細につづられています。私は何度も感動して泣きました。ビジネス書で泣けるなんてなかなかないと思います。
なかなか実践できないことではありますが、この本を読んだ人が自分の立場ですこしでもできることはないかと、行動を起こしてもらえると、日本はもっとすばらしい国になるのではないでしょうか?
私自身は、「一緒に仕事をしている人に本気でやさしく」、「お客様に本気でサービスをする」きちんと実践していきたいと思いました。




題名と内容は若干合致しないが、会計の入門書としては良書。会計の専門家でないビジネスマンが、企業経営という視点から会計を理解することができます。
流動比率、自己資本比率、ROA、ROE、3つのキャッシュフロー、在庫を増やすと利益が増える、限界利益などの言葉の一つでもピンとこないのであれば、とても読む価値があると思います。単純な解説ではなくて、ひとつひとつの解説に、経営コンサルタント的な意味づけを行っていることがとても勉強になります。




無印良品のV字回復について学ぶことができます。業績回復のヒントを「拾う」というよりは、企業にとって「自社の強み」を理解し、それをメリハリの基準にして「業務改革の王道」を真剣にとりくんでいくということがとても重要なんだと言うことを改めて感じました。
個人的には無印良品は好きなブランドなので、楽しく読むことができましたし、ますますファンになりました。


石川 和幸
日本実業出版社(2008-06-19)



SCMについてよくまとまった本。理論によらず、筆者の経験から現実的なアドバイスもたくさん盛り込まれています。
SCMを初めて勉強するかた、体系的に再勉強したい方に最適の本です。


マッテオ モッテルリーニ
紀伊國屋書店(2008-04-17)



経済の動向には少なからず心理学的要素が影響をあたえているということを解説してくれている本です。
経済全体的な動きだけでなく、我々個人的なレベルの経済的活動にも心理的要素が大きく働いていることを認識させてくれる本です。
コンコルドの誤謬、アンカリング効果、ヒューリスティックス、保有効果、フレーミング効果、プロスペクト理論などなどを、読者への質問という形式で”体験”しながら学ぶことができます。
ビジネスへの応用も効くでしょう。




抜群に高い経常利益率の会社「タニサケ」の会長の著書。日本の古き良き企業精神の宝庫です。
とくに印象に残ったのが、営業に金額ノルマがないということです。
従業員にすばらしい労働環境を提供すれば、一生懸命働くということを証明している会社だなと思いました。
興味のある方はぜひ。


リュディガー・ユングブルート
日本経済新聞出版社(2007-02)



ついに日本にも上陸した、世界一の家具店IKEAの歴史と、成功の秘密です。
株式上場をしていないので、詳細は不明であった企業ですが、よく取材してあり秘密を知る楽しみを味わうことができます。価格、スタイル、危機管理といった面でとくに強みを発揮しています。とにかく「家具は買い換えるもの」という文化を確立したのは一つの成功だとおもいます。




ベストセラーになった話題の本です。
会計の世界をわかりやすく解説してくれています。
会計に興味のあるひともない人も、いろいろなエピソードが純粋に読み物として楽しむことができます。


野口 美佳
東洋経済新報社(2005-11)



本のタイトルがいまいちですが、内容はとても参考になります。まず年商100億くらいまでの企業経営には、大いに参考になる哲学が詰まっています。
そして全ての経営者、マネージャーへはリーダーシップというものが非常に理論立てて説明されています。
会社の雰囲気を良くし、社員のモチベーションをあげるためのヒントがいっぱいです。
働いている女性の方へのメッセージもたくさん入っています。とてもおもしろく読むことができました。




決算書の基礎について学ぶのであれば最良の本。
非常にわかりやすく体系的に決算書の内容について解説してあります。
読み物的な本がはやっていますが、それらを読む前にこちらを一読しておくと頼理解が深まるかと思います。適当なサイズの文庫本であるのも、読みやすくてありがたいです。
おすすめです。


大原 進 M.トレーシー F.ウィアセーマ
日本経済新聞社(2003-07)



バリュープロポジションについて書かれた本です。
優秀な企業はオペレーショナル・エクセレンス、製品リーダー、カスタマー・インティマシーの3つのいづれかのタイプに分類できるという主張です。
明確な経営戦略をなかなか打ち出せないときに、この軸で考え始めると、どこを目指しているのかが何となくわかってくるはずです。
本書中にウォルマート、サウスウェスト、IBM、インテル、デルなどが例としてあげられています。
有名な本なので、一度目を通しておくことをおすすめしておきます。


Clayton M. Christensen Scott D. Anthony Erik A. Roth
Harvard Business School Pr(2004-09)



「イノベーションのジレンマ」の著者クリステンセンの最新刊。なぜ優良企業ほど失敗するかを解説した前2作につづいて、では実際に現在どのような状況なのかををどうやって知るのか、ということを解説している本です。市場が成熟しているか、成長しているか、もしくは市場が生まれた場ばかりか、市場になれない状態かという4つのパターンに分析できます。そしてDisruptive Innovationに対して、新規参入者、既存の優良企業がそれぞれどのように対処するのかをまとめている。本の後半は医療、テレコム、半導体、航空業界などの事例を挙げて、この分析方法をどのように適用していくのかを分かりやすく解説しています。




バランス・スコアカード(BSC)のステップ・バイ・ステップのような本。バリュー・プロポジションとからめて戦略を重視しながらBSCの設計をしていくところにこの本の良さがあると思います。単なる、管理ツールになってしまいがちなBSCを、戦略をしっかりと定めることで企業の戦略をBSCをもって遂行できるのだということをしっかりと主張している本です。




キャッシュフローについてやさしく解説してある本。計算にこだわらず、キャッシュフローとはなにかという点に焦点を絞って書いてあります。会計にまったくの初心者にはきついかもしれませんが、基本的なことが分かっていれば読みこなせると思います。具体的な分析の例も簡単に乗せてあるので、参考になると思います。しかし会計系の知識はどんなに勉強しても奥が深いですね。まずはこの本で概要をつかんで、さらに自分の知りたいことは各専門書をあたると良いのかなと思っています。


大前 研一
講談社(1985-10)



古い本だが、あの大前研一氏の著作。微妙にまとまっていなかったり、著者の思いが入り込みすぎている部分があり読みにくい部分もあるが、逆に何度もよんでいると細かいところではっとさせられることが多いです。ボリュームも適度で何度も読み直す気になるのも良いところ。ロジカルな思考とはなにかということについて、よく考えさせてくれると思います。


グロービス・マネジメント・インスティテュート
ダイヤモンド社(2002-02)



MBA関連の本はたくさん出ていますが、そのなかの究極の一冊を選べといわれたらこれになるでしょうか?非常によくまとまっており、まず一冊読むには最適です。それぞれの内容にをより深く調べるためには他の書籍をあたる必要がありますが、一定のレベルでかなりの範囲を体系的に網羅しているためリファレンスとして、また入門用として使えます。手元においておきたい一冊ですね。




ディズニーランドがなぜあんなにも人気があるのかという秘密が書かれている本です。
はっきりとした戦略をもつということがどれだけ強いかを体感できます。ディズニーの戦略は「完璧」なマジックランドを作ることです。それによって顧客の満足度は他社と比較にならないくらい高まり、差別化の重要なポイントとなっています。ディズニー経営に関する本はいくつもでていますが、この本は物語風に書いてあるので読みやすくお勧めです。




2000年に書かれた本です。本書を読むと、ここ数年でずいぶん世界が変わったことを実感できます。いろいろな予測をしており、その結果をすでに知ることができるわけですが、あたった予測、はずれた予測がわかって読んでいて面白さを感じます。あたった予測のなかでは、とくに国際情勢の見方などは優れていて、今後日本どのような方向に進み、何をすべきなのかをかなり的確に捉えていると思います。アメリカでは.comバブルがはじけましたが、実際には強い企業は生き残って業績を伸ばしており、アメリカ経済を実質的にも、精神的にも引っ張っています。日本にとっての救いは、ソフトバンクのおかげで、ブロードバンド環境が当時の予想以上に低価格・大容量で普及したことでしょう。このようなインフラが整備されているのは国家の成長に大きな強みとなります。


 

 


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